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2015年1月18日日曜日

辻啓カメラマンがS-Works Owners Clubで語ったこと 前編

スペシャライズドの技術と英知によって作られる、インダストリー最高水準のバイクやエキップメントがS-WORKS(エス・ワークス)。そのオーナーの集いが「S-WORKS OWNERS CLUB」です。 1212日(金)大阪府堂島で開催しましたS-WORKS OWNERS CLUBのクリスマスパーティへ、辻啓カメラマンにお越しいただきました。

以前ご紹介しました砂田弓弦さんと同じく、数少ないアジア人サイクルフォトグラファーとして世界をめぐる辻さん。クリスマスパーティでのトークショーの一部をご紹介します。

(注:以下、ご紹介する写真の一部はBREAKTHROUGH MEDIAが撮影したものになります)


SPECIALIZED JAPAN (以下、SJ)―それでは、写真のスライドショーを見ながら進めたいと思います。あの、まず1ついいですか?ずっと気になってんですけど、いつも短パンですよね。寒くないですか?

辻啓カメラマン(以下、辻啓)そうですね、いつの間にかトレードマークみたいになっていますけど(笑) 鈍感というか良く言えば寒さに強いんです。それよりもまず、動きやすい服装を優先で着ているので。必然的ですね。ジーンズも持ってはいるのですが、はくと動きが悪くなります。

動きにくいのは嫌ですし、着ぶくれするのも嫌なんです。だから下だけじゃなくて上も、短くて軽い恰好が好きです。

SJ― という辻さんは日本を代表するサイクルフォトグラファーですが、ベースはやっぱり「自転車乗り」ですよね。

辻啓― そうですね、基本的に写真を撮ることが仕事ですけど。もともと自転車に乗ることが好きで、そして写真を撮るのも好きでそれがいつの間にかひとつの仕事になっていました。なので、写真の勉強もしていないです。それよりも、行動力と言いますか、いかに現地で、その場にいるのかという方が、正直言うと、写真の技術よりも断然重要なんですね。もちろん、技術も必要なのですが、それ以上に行動力が必要なので。先程の、「軽い恰好」というのもあるんですけど。「いかに動くか」。それをアドバンテージにしながら仕事しています。

SJ― 「いかに動くか」をアドバンテージにして得た情報量はさすがですね。コミュニケーション能力で得た情報量が、やっぱり作品の中にも入っているのですよね。

辻啓―  自分はそう思います。


SJ― これ何の大会ですか?これは「紙吹雪」ですよね。

辻啓―  ジロ・デ・イタリアです。ツール・ド・フランスはフランスのレース。で、ジロ・デ・イタリアはイタリアのレース。と言いながら、14年ではいきなりアイルランドでスタートしました。(笑)

SJ― そうですね、たしかに。

辻啓―  :アイルランドのダブリンのフィニッシュでした。ジロがなぜ好きかと言いますと、まずイタリアという国がもともと好きでして。言葉とか食べ物とか、人情とか。で、派手なんですよ。全部。いきなり紙吹雪がばぁ~んってなりますし。ツール・ド・フランスではないシャンパンファイトもあります。

SJ― あ、ツールではないんですね?

辻啓― ないですね。軽くキスして終わりです。シャンパンファイトはもう、ジロならではですね。

SJ― ツールは品行方正な感じでしょうか。

辻啓― そうですね。まあ、良くも悪くもイタリアのローカルレースですね。イタリアのレースなので、イタリア製のシャンパンを振り回したりして。

普段、取材時にいつもメディア用の本が配られます。これは一般の方は見られないので持ってきたんですけど、なぜかツール・ド・フランスなんです。ごめんなさい。どこにメディアの駐車場があって、そののぼりがどうのこうのっていう情報が載っているので。

参加者― これはどんなレースでも用意されてるんですか?

辻啓― そうですね。ただツール・ド・フランスのものはやっぱり一番分厚くて豪華ですね。作りがしっかりしています。情報量がすごいです。まあ、もちろんジロのバージョンもあるのですが、ちょっとなくしてしまいました。(笑)

SJ― 辻さんは足しげくイタリアに通っていますが、イタリアって地方によって違うんですか?

辻啓― 違いますね。南北問題はどの国もありまして。南はやっぱり景気が悪くて。あんまり働かない。失業率もびっくりするくらい高かったりして。でも、人が熱くておおらかで人間味がある。ぼくは南イタリアを取材するのは、イタリアらしいところですので、すごい好きですね。いわゆる、「日本の方がイメージするイタリア」が詰まっているという感じです。ご飯は美味しいし安いし、人と話すと唾がいっぱい飛んでくる.... そんな地域です。

ジロもお祭りです。レースではあるんですけど、今年ジロが通るから街を精一杯盛り上げよう!みたいな具合です。なんていうことない街の広場ですが、ジロが通る一瞬のためにいろいろとお祭りのような催しをするんですよね。もう国全体、そして街全体で盛り上げているレースです。

ツール・ド・フランスの方が圧倒的に知名度も高いですし、観客数は多いです。ただ、もう何と言いますか、もはやフランスのレースというよりも国際的なビックイベントですよね。巨大すぎて、どこか入り込みにくい。でも、ジロはすごくイタリアらしい側面がいろいろ詰まってるので、ぼくは大好きですね。撮影のために歩いていると、ワインを勧められるんですよ。地元のものをね。地元のワインが、世界一のワインだ、って言って。必ず勧められます。

基本的にぼくは車移動なので、丁重にお断りしているという感じですが。


PHOTO: BREAKTHROUGH MEDIA

SJ― なるほど。・・・これまた、来ましたけど。今日はですね、ちょっとプリントしているので・・・またこっちでも見ていただきたいんですけど。はい。

辻啓― はい。ディスプレイじゃわかりにくいですけど、ピンクの風船が、もう、レースのコースのいたるところにあります。すごくイタリアらしいですよね。

ピンクは、イタリアのガゼッタ誌というスポーツ新聞の紙の色です。そのガゼッタ誌が昔からジロをスポンサーしていたので、リーダージャージ、つまりその時点で一番速く走っている選手が着るのが、そのピンク色のジャージなんですね。

もう今や5月になると、いたるところがピンクですよ。イタリア人は基本的に派手な色が好きなので、彼らもピンクが大好きなんですよ。

SJ― はい、じゃあ次いきましょう。

辻啓― はい。201310月のジャパンカップという、日本で一番大きなレースがありまして、そこで優勝したのがマイケル・ロジャースという選手でした。ただ、その後、中国で食べた肉が原因でのドーピングに引っかかっちゃったんですよね。

PHOTO: BREAKTHROUGH MEDIA

結果的にドーピングは、その肉が原因だろうということで処罰は受けなかったんですよね。で、ジロで表舞台に戻ってきたんです。久しぶりに出たこのグランツールの大舞台で優勝した。ぼくの目の前に来たんですけど、本人もゴールして泣きじゃくるわ、スタッフから叩かれまくって、そして抱擁されまくるわでこっちもグッとくるものがありました。

そのとき、逃げ切ったシーンです。20秒後方にはでっかい、100人以上の集団が迫っていました。マイケル・ロジャースは、もうベテランなんですけど、このままドーピングで終わるかと思いきや、戻ってきての優勝でした。

ロードレース見られている方はわかると思いますが、「逃げ」が飛び出して、それを集団が追いかけてなんとか捕まるか捕まえないか、という瀬戸際がずっと続く。そこを、なんとか逃げ切るという、職人な感じがすごいですね。ぐっときます。

SJ― ロジャースはどちらかというと、スターではないですよね。またそこが、渋い感じ。

辻啓― 仕事人というか、陰でずっと、他の選手を支えていました。そして、久しぶりにエースとして自由を与えられると、しっかり勝つ。素晴らしいですね。


SJ― これもいい写真ですね。はい、次いきましょう。ボロボロですけども。

辻啓― はい!で、さっきジャパンカップで勝ったマイケル・ロジャースでしたけど、これもジャパンカップで勝ったクリス・アンケル・セレンセン。

同じティンコフ・サクソのチームメイトです。先ほどと同じフィニッシュ地点で撮影したものです。かたやチームメイトは歓喜の独走勝利で、かたやチームメイトは集団の後ろでボロボロになってフィニッシュしているという、明暗。この日は本当ぐちゃぐちゃでした。序盤からずっとアベレージ50くらいで、登りをつっきっていくようなレースでした。

そしてアタックが決まらずに、バンバンとアタックしたものの後ろは濡れた路面で落車が連発。だからセレンセンも速攻で、落車したんですね。でも、そこからまだゴールまで150キロある。とりあえずフィニッシュしないと次の日も走れないんで、成績も関係なく、次の日のためになんとか走りきる。


PHOTO: BREAKTHROUGH MEDIA
SJ― また、ジロらしいっていうか。

辻啓― はい。とてもジロらしいですね。イタリア人はやっぱり女性が好きなので。もう、おじさまたちに写真撮られまくりです。スマホとかで。まぁまぁイタリアならでわですね。ツール・ド・フランスではこういう、ちょっとセクシーな恰好するというのは絶対ないです。

あ、ちなみに、このポディアム・ガールと結婚される選手は案外多いです。ポディウム・ガール現役の頃はないにしても、現役を退いて、「あ、そういえばあの女の子いなくなったねぇ」って言ったら、「誰々と結婚したらしい」なんて。その相手が元選手であることがすごく多いです。

SJ― なるほど。そういうこともあるわけですねぇ。で、またレース。

辻啓― はい。次は... 日本でいうところの、比叡山とか高野山のような感じでしょうか、山の上にある教会に向かってフィニッシュするんです。

PHOTO:BREAKTHROUGH MEDIA

オメガファルマ・クイックステップ(現エティックス・クイックステップ)のリゴベルト・ウランがマリア・ローザ、そうリーダージャージを着て走っています。で、その前をアシストが引いてる。そして、その20秒くらい前をナイロ・キンタナ選手たちが走っている。要は、ライバルが逃げてるんですよ。でもウラン本人には、もう力が残っていなくて、何とかチームメイトが引いている状態です。

フォトグラファーにはプレス・ビブ、つまり許可証のようなものが与えられて、コース内での撮影が基本的に許されるんですよ。危険な場所じゃなければ大丈夫なんですよ。

僕はゴールから150メートルくらい手前の最終コーナーの外側で撮影していました。フィニッシュラインには、ゴールシーンを狙っている30名くらいのフォトグラファーが列をなしていました。その中に知り合いがいたので、そこはいいやってことで、僕はゴールから150メートルくらい手前の最終コーナーの外側で撮影していました。

参加者― 質問していいですか。これ、その知り合いのカメラマンが撮影した写真の背景に、(辻さんが)映り込んじゃったりしないんですか?

辻啓― いや、知り合いだけじゃなくていろんなフォトグラファーに、逆に、「ちょっと、映ってないんだよ」って言われました。何が問題だったかって、レースコースのバック、あれにはすべて、スポンサーさんの広告が入ってるんですよね。このときは、バナナとパイナップルの広告、レースを通じて確か20種類くらいあったと思いましたが、そのバナーを隠したということで、主催者に怒られました。はい。

SJ― ペナルティとかはなかった?

辻啓― ペナルティは、ないです。よっぽどひどいと、許可証をはく奪されて、レースから除外されます。仕事仲間であり、ライバルでもあるんですけど、お互いあっての仕事。知り合いとのやり取りが多いので、なんとかなったりしますが。ただ、初めて行った人間ならば、もう叩かれて、どっかやられるんですけどね。やっぱり、年を重ねるごとによって、だんだんと受け入れられますね。

― 後編に続きます。後編は1月23日(金)ごろ公開予定です。どうぞお楽しみに。

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